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狐と私と先生

第4章 ワザと、なのか?

『ギュッ』

せっかく取っていた距離は、いつの間にか詰められいて
私はアッサリと銀に抱きしめられた。

校舎から悲鳴のような声が小さく聞こえた。

私に聞こえたんだから、耳よい銀に聞こえてないはずがないのに、
銀はまったく気にせず、私を抱きしめている。

「静、オレ嬉しいよ。

静の家も、静の料理も、久しぶりで、
オレ、すっげー楽しみ」

私を放してくれた銀は、満面の笑みだった。

「んじゃ、お前ん家で待ってんから」

そう言って銀は私に背を向け、歩きだす。


「家の道、分かる?」

私は慌てて銀の背中に向かって叫ぶ。

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