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桜 舞う

第1章 桜 舞う

一人残された私は力が抜けてペタンと椅子に腰を降ろしてしまった。

はぁああああ、ドキドキした。
…………
ホントに食事、誘われるのかな?

あったかい紅茶を一口飲んで、机に上体を投げるように突っ伏した。早く戻らなきゃって思うけど、力が入らない。

浮かんで来るのはついつい見惚れた課長の笑顔。
いつも鋭い目元が緩み穏やかな弧を描いてた。優しさと大人の男の色気、どちらも感じさせる意味深な笑顔。

たった数分の間に課長が笑ってるのたくさん見た気がする。というか、会議室に入ってからほぼずっと笑ってた?
……甘い?雰囲気もまとわせて、すごいドキドキした。
かっこ良かった……
前からカッコいいと思っていたよ。でもいつも厳しい顔してて緊張させられて怖かったし……

笑うと確かに威力半端ない。
今まで課長のことなんて考えたことなかったのに、頭の中課長でいっぱい。
そりゃ上司も禁止するよねって納得。

でも……でも何で私に笑ってくれたの?

……ああ、私今日仕事ないからか。
使い物にならなくても支障ないもんね

自分で気付いてすごく落ち込む。

でもっ仕事丁寧って、やりやすいって、褒められたよ。
大丈夫、大丈夫。
少しは自信持って良い……よね?

寝そべったまま頭だけ起こして、紅茶を飲んだ。

思考がてんでバラバラだ。
課長の笑顔、課長の言葉、私の好きな紅茶くれたり……意外と優しい?

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