
桜 舞う
第2章 おまけ
校正を終えた書類を添付して社内メールで先輩へ飛ばし、恐る恐る課長のデスクに近付いた。
「どうした、平坂」
顔は画面を向いたまま、一瞥されて緊張する。
「仕事が片付きましたので、酒々井さんと交代してきます」
そう伝えると課長が頭を起こした。無言でジロリと見上げて来る鋭い目。
何、このプレッシャー
ちょー怖いんだけど……
「そうか。助かる」
淡々とした応えに頭を下げ、その場を離れようと思ったのに。
「よし、行くか」
パソコンを落とした課長が立ち上がる。
えっ?
もしかして課長も一緒に行くわけ?
そんなの、想定外もいいところ。
交代を理由に温かい飲み物を差し入れて、少しくらいなら酒々井と二人で話せると思ってたのに……
ちょっと、いやかなりの衝撃に一瞬動きが固まった。
その間に課長に隣を通り抜けられ、慌ててその後ろに続く。小走りで追いかけないと、デカイ課長にはすぐ置いていかれてしまう。急いで部屋を横切る脇で
「平坂、おーきに」
俺と同じく下座のデスクから同期の米田に片手を上げられた。その目が笑ってる。
くっそ、腹立つ!
黙ってろ!
ギロリと睨み付けてその前を通り抜ける。でも、残念ながら俺に目力はないらしい。部屋を出た直後、閉まる扉の向こうから聞こえた米田の笑い声。
ムッとして、同時に課長に下心がバレるんじゃないかと肝が冷える。俺の数メートル先でエレベーターホールへと曲がった課長の横顔はいつも通りの無表情。
ひっじょーに気になれども、そんな事課長に聞ける訳もなく。無言のままエレベーターで下まで降りる。途中コンビニに立ち寄って、酒々井の待つ公園へと足を向けた。
「どうした、平坂」
顔は画面を向いたまま、一瞥されて緊張する。
「仕事が片付きましたので、酒々井さんと交代してきます」
そう伝えると課長が頭を起こした。無言でジロリと見上げて来る鋭い目。
何、このプレッシャー
ちょー怖いんだけど……
「そうか。助かる」
淡々とした応えに頭を下げ、その場を離れようと思ったのに。
「よし、行くか」
パソコンを落とした課長が立ち上がる。
えっ?
もしかして課長も一緒に行くわけ?
そんなの、想定外もいいところ。
交代を理由に温かい飲み物を差し入れて、少しくらいなら酒々井と二人で話せると思ってたのに……
ちょっと、いやかなりの衝撃に一瞬動きが固まった。
その間に課長に隣を通り抜けられ、慌ててその後ろに続く。小走りで追いかけないと、デカイ課長にはすぐ置いていかれてしまう。急いで部屋を横切る脇で
「平坂、おーきに」
俺と同じく下座のデスクから同期の米田に片手を上げられた。その目が笑ってる。
くっそ、腹立つ!
黙ってろ!
ギロリと睨み付けてその前を通り抜ける。でも、残念ながら俺に目力はないらしい。部屋を出た直後、閉まる扉の向こうから聞こえた米田の笑い声。
ムッとして、同時に課長に下心がバレるんじゃないかと肝が冷える。俺の数メートル先でエレベーターホールへと曲がった課長の横顔はいつも通りの無表情。
ひっじょーに気になれども、そんな事課長に聞ける訳もなく。無言のままエレベーターで下まで降りる。途中コンビニに立ち寄って、酒々井の待つ公園へと足を向けた。
