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桜 舞う

第2章 おまけ

公園へ着いた時には五時を回っていて、すでに宴会を始めた人たちもちらほら見える。
酔っ払いはまだいないけど、一人きりの酒々井が心配で自然と早足になる。それは課長も同じらしく……
走らなきゃ付いて行けない身長差が恨めしい。

あ、
いた……

少し先に並ぶ桜の下、大きなシートに一人で座る酒々井を見付けた。見上げていた桜から視線を落とし、こちらを向いた彼女の目が大きくなった。

愛くるしいその反応
俺が独り占めするはずだったのに……

課長の背中に隠されて、まともに見る事さえ叶わない。それはつまり、酒々井からも俺はあまり見えていないと言う事でもあって……

何だってこんなにデカイんだよ!

酒々井を見付けた課長が心なしかスピードアップしたのは気のせいか?お陰でみんな避けてくれるし、あっという間に彼女の前まで着いたけど……

「酒々井、スマン。朝からお前ずっとここにいるって?」
「……は い」
「平坂と変われ。お前は戻るぞ」

課長の言葉に酒々井が驚いたような顔で俺を見上げる。

そんなに?
そんなに俺が来た事が意外かよ……

酒々井の反応にがっくりきて視線を逸らした。

まぁ確かに、あまりそういう親切をする方でないけれど。
本当は、もっと早く代わりに来る予定だったんだよ?

なんて一人拗ねてる横で、課長が酒々井の二の腕を掴んで軽く抱え上げていた。

はい?
課長、何やってんの??

酒々井の顔は驚きと恐怖が入り混じっていて……

何だろう……何となく課長の態度が気に掛る。

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