4月は君のぬくもり
第12章 夢に向かって!
五年後。
「はるちゃんっ、がんばれー!」
一歳になる娘の春陽
(ハルヒ)が歩行器を卒業し、今まさに自分の力で歩こうとしていた。
その瞬間を撮ろうと、晶午はスマホを向けているところだ。
「はるー、パパとママの方へおいでー」
歩く練習は、ここ三日続いていた。初めは数歩で転んでしまったが、そのうちその距離が長くなる。
よちよち…
目元が晶午に似た可愛い顔で、まっすぐ私達の方へ進んで来た。
「すっごーい、はるちゃん、歩けたねー」
両手を広げ、笑顔で
春陽を抱きしめる私。
あれから…
晶午は専門学校を卒業し、今地元のカフェで修行中の身だ。
私は教師を続けながら晶午をささえ、親子三人充実した日々を送っている。
くすっ。
「ねえ晶午?
私達が家族になるなんて、出会った頃は思いもしなかったよね…」
「そうだな」
晶午も笑った。
四月の昼下がりは
風がとても柔らかかった……。
end.