おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第12章 川上達哉という男(その1)。
そして、最新モデルが進化したところと言えば、デザインだけではなく機能もだと、川上さんは得意気に話す。
初期モデルは、「揉む」「叩く」のみの刺激だったが、現在の最新モデルでは、更に「舐める」「引っ張る」という刺激も体感出来るのだと言う。残念ながら、「吸いながら舐められる」感覚は味わえないらしいのだが。
「まあ、それが味わいたいなら、「タコっCHUミニ」の方がいいからねぇ」と言うと、近くの棚から、掌サイズの一見、子供用のマスコットにしか見えない、タコ型のオモチャを取り出した。
このミニは、タコの頭部分を押して空気を押し出し、元の形に戻る時に肌に吸い付かせる仕様になっており、更にリモコンで操作すれば、中のブラシが回転して、乳首をあたかも舐め回しているかの様な刺激を与えてくれるのだと、川上さんが説明してくれる。
キラキラと瞳を輝かせて、自分達の作った商品を熱く語る川上さんを見ている内に、こんな風に自慢の出来る商品を作れる事が出来たなら、アタシも少しは自分に自信が持てるのだろうかと、考える。
それにはまだまだ、覚えなければいけない事が沢山ある。そう思えた事は、昨日よりは一歩だけ前進出来たのかも知れない。
傾きかけた黄金色の陽の光を受け、キラキラと輝く川上さんを見ながら、アタシはそう思ったのだった。