おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第14章 盗み聞き。
どのくらい意識がなかったのだろうか。気が付いたらあの天蓋付のベッドの上だった。身体が怠くて動く事が出来ない。アタシは、天蓋を見つめながら、閉ざされたカーテンの向こう側の音に耳を傾ける。
パソコンのキーボードを叩く音。プリンターが紙を吐き出す音。AD部の皆さんの雑談の声。
「それにしても、すっごい量だったね。本当に漏らしたみたいだった」
平川さんがそう言いながら思い出した様にクスクスと笑っている。「漏らした」って、アタシの事だよね。やっぱり、皆さんの前で失禁してしまったのかと、恥ずかしくなる。
「経験が少ないのに、クリだけであそこまで潮を吹く子は、女優さんでも中々いないんだよねぇ……」
のんびりとした川上さんの声が、しみじみとそう言うと、下出が「森脇って淫乱の素養があるって事ですか?」と尋ねる。下出って、ほんっとに感じ悪いな。
「淫乱な子になるかどうかは、本人次第だと思うけど、ああ言う風に身体が反応してくれると、男としては攻め甲斐はあるよねぇ」
「でも、中々感じない女の子を感じさせるのも達成感がない?」
「あー、それは分かる。本当かどうかは分からないけど、「こんなの初めてぇ」とか言われると、嬉しいもんな」
そう言いながら、山岡さんが声を上げて笑った。山岡さんの声を聞いて、さっきの他人事のような言葉を思い出して、アタシの胸は何だか切なくなる。