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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第17章 桜の花弁舞い散る夜にアタシの花弁は濡れそぼる。


 確かに悪くない話かもしれないけれど、それって平川さんに何のメリットがあるのだろうか。例え付き合っている振りだとしても、平川さんの汚点にならないのだろうか。

「どうして……?」

「さあ、何でだろうね? たまちゃんに素敵な女性になって欲しいからかな?」

 そう言って平川さんが綺麗な笑みを浮かべる。桜の花弁が舞う中で見る、その笑顔は、とても綺麗で。アタシは、「桜の精と話をしているのではないか」なんて思ってしまう。

 ふわふわ。

   ひらひら。

  夢見心地。

 桜の精が微笑かける。

 この時のアタシは、まだ酔っていた。そうでなければ、頷く筈がないもの。気がつけば、アタシはこう言って、平川さんに頭を下げていた。

「分かりました……。それじゃーよろしくお願いしますっ!」

「ふふっ。こちらこそよろしくね?」

 何だかよく分からないけれど、山岡さんへの恋心に気付いたアタシは、何故か平川さんと、付き合う真似事をする事になってしまったのだった。






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