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第22章 川上達哉という男(その2)。


 王子にモリーと「付き合っちゃえば」と嗾(けしか)けたのは俺だけど、まさかこんなに早く進展するとは思わなかったなぁ。

 俺が王子に嗾けたのには理由があって、一つはヤマを奮起させる事と、もう一つはモリーに自信を持って貰いたいと思ったから。

 ヤマとは親友だし、アイツの過去にどんな事があったのかも、俺は聞いている。ヤマは初恋の女性の事をずっと引き摺っている。最終的に自分は捨てられるんじゃないかって言う不安から、恋愛に臆病になっている事も。でも、アレは相手が悪かったと思うんだよねぇ。ヤマを捨てた女性に復讐するかの様に、年上の女性と遊んでは、捨てていたけどさ。そんな事をしたって、自分の傷を抉るだけなのに。恋で出来た傷は新しい恋でなきゃ、その存在を葬り去る事など出来やしないのに。

 ヤマは必要とされたいんだ。愛する人に。だから、自分を必要としてくれる妹ちゃんに依存している。だけど、幾ら妹ちゃんを溺愛して恋の傷を忘れていたとしても、そんなの一時だけだよ。妹ちゃんはいつか、他の男を選んで離れて行くんだから。

 モリーが入社してきて、俺達が研修担当になった。最初、事務所に入って来た時は、「大丈夫かな?」と色んな意味で思った。まず、俺達が彼女に対し、その気になれるかって言うのが心配だった。俺の場合、仕事であればどんな女の子も抱いてきたけど。でも、可愛らしいところがあって、案外、皆すんなりとその気になれたみたいだった。

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