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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第26章 痴漢、再び……。


 平川さんにエントランスホールでキスされた翌日、アタシはいつもよりも早目に家を出る。駅で平川さんが待ち伏せしているかも知れないからだ。アタシは周りに気を付けながら、平川さんがいない事を確認すると、足早に改札を通り抜けた。ホームにも平川さんがいない事を確認し、アタシはホッと胸を撫で下ろす。昨日の今日で会いたくない。とは言え、会社で顔を合わす事になるのだけれど。でも、二人きりでなければ、未だ気は楽だ。

 駅員さんが電車の入場を知らせるアナウンスをすると、電車が到着する。一時間も早く出れば、きっと電車は空いているだろうと思っていたが、予想外にも早い時間の方が電車は混んでいた。アタシは後ろからギューギュー押されながら、何とか車内に乗り込む。アタシの後ろに立っている大きなリュックを背負っている人のせいで、アタシの身体は海老の様に反り返ったままドアが閉まり、その姿勢で固定されてしまった。

 前には知らない男の人。その人に胸を押し付ける体勢となってしまったアタシ。「すみません」と言って顔を背けたものの。何だか落ち着かない。ドアに鞄が挟まったとか何とかで、発車は少し遅れたものの、何とか電車は動き出した。それから直ぐの事である。

 アタシのお尻の辺りで何かがモゾモゾ動く。最初は、無理矢理押し込まれたせいで、鞄ごと腕を持っていかれた人が、自分の方へ引こうとしているんだと思っていたのだけれど、どうも様子がおかしい。モゾモゾと動く何かは、アタシのスカートを少しずつ捲り上げ、脚の間に何かを差し込んで来たのである。

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