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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第27章 アタシの気持ち(その1)。


「でも、まあ、分かったよ。モリーの心が揺れている今の状況じゃあ、ヤマを嗾(けしか)けても、ヤマが傷付き兼ねないもんね。ねぇ、モリー? これからも俺に相談してね? これでも、恋愛経験は豊富だから、色々とアドバイスは出来ると思うよ? まあ、俺のお勧めはヤマだから、ヤマに有利になるような事しか言わないと思うけどねぇ?」

 川上さんはそう言って笑うと、アタシの頭をポンポンと撫でた。その手は本当に優しくて。池田先生の言う"下心"は感じられなかった。あるとすれば、親友への友情の為。友達のいないアタシは、そんなお二人の関係を羨ましいなと思った。アタシがのほほんとそんな事を思っていると、川上さんは机を"バンっ"と叩いて立ち上がる。

「さて、王子とは別れたワケだし、サンプルのテストは王子とじゃなくてもいいって事だよねぇ?」

「え?」

「正直言ってさぁ、もうモリーにあんな事やこんな事が出来ないのかぁ……と残念に思っていたから、王子と別れた事になってくれてホッとしたよぉ」

 そう言うと川上さんはニッコリと可愛らしい笑顔を見せる。アタシはその後ろに悪魔の尻尾がふりふりと揺れているのが、見えた気がしたのだった。







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