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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第30章 高槻雅史という男(その2)。


 山岡に連れられて森脇が戻って来たのは、昼休み直前だった。三時間も何をやっていたのか、気になる。サンプルのモニタリングだったら、通常一、二時間弱で終わりそうなものなのだが。私がそう言うと山岡は、森脇が気を失って介抱していたからだと悪びれもせずに言った。他にも待っている者がいるのだから、もう少し気を付けて貰いたいものだと私が言うと、反省した素振りを見せる。山岡は調子のいい男ではあるが、仕事はしっかりやる男だから信用はしているのだが、どうも怪しい。まさか、森脇と……? いや、森脇の歩き方に違和感はないから、それはないだろう。

 午後からは、私の番だ。打ち合わせの多い私は、坂内部長に次いで事務所にいる事が少ない。企画の本数も最近では減っている為、モニタリングの機会が減ってしまったのが残念だ。折角、森脇の様な人材が入って来たと言うのに。

 森脇は一見、従順そうで自分を持っていない様に見えるが、実は意外と自分と言うものを持っている子だ。唯、自己主張をしないだけだ。彼女の"月の物"期間以外、殆ど毎日の様にモニタリングと称して彼女の快楽を与え続けているが、それに溺れて仕事を疎かにする事はない。男性経験がないからだろうか。いや、あったとしても森脇なら、きちんと仕事をこなすのだろう。雰囲気が彼女によく似ている。

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