おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第30章 高槻雅史という男(その2)。
AD部に配属になる女性は、大抵、快楽に溺れ仕事が手につかなくなる事が多い。その中で、唯一それに溺れる事なく、自分の都合で退社をするまで、自分の責務を全うした女性が一人だけいた。彼女は部署内にいた、今は他の部署で働いている男と恋仲になり、結婚する為に退社した。まあ、幾らパートナーがいるからとは言え、決まった相手が出来てしまえば、続けられる仕事ではないだろう。
であるから、森脇が平川と付き合う事になったと聞いた時には、正直、入社して早々、困った事になったと思った。パートナーを作るのは悪い事ではない。社内恋愛は禁止ではないし、勿論、部署内でも禁止ではない。会社の方針として、"人の心を幸せにするおもちゃを作るには、先ず作る人が幸せでなければいけない"と言う考え方だからだ。
唯、AD部の場合は仕事の内容が内容なだけに、少し問題がある。部署内の人間であれば、理解は出来るであろうし、そう努める筈だが、次第にお互いの精神が壊れていくのである。以前は、部署の女性以外にも、社内モニターを募集してモニタリングをしていた。そうなると、自分のパートナーが社内の他の異性と淫らな行為をする事になる。幾ら仕事と割り切ってはいても、精神的に持たないのが現状だ。