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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第32章 肩透かしの夜。


 ベッドの掛け布団が盛り上がっている。森脇さんが包まっているのだろう。「上がったよ」と声を掛けるが、動く気配がない。僕はそっと近付いて、彼女の顔を覗き込む。すると、彼女は目を閉じて、規則正しい寝息を立てていた。

 テーブルの上を見ると、缶のカクテルが空いている。どうやら酔っ払って眠ってしまった様だ。

 僕は暫く、ポカンと彼女の寝顔を見つめていたが、やがておかしくなってきて、笑ってしまった。あれこれ考えていたのが、馬鹿らしい。けれど、ホッとしている自分もいる。森脇さんの大切な"初めて"を彼女の酔った勢いで散らさなくて良かったと。

 「けれど、これくらいは許して欲しいな……」

 僕はそう呟きながら、彼女の唇にそっと自分の唇を重ねる。柔らかな森脇さんの唇の感触を暫く堪能した僕は、彼女が起きない様にそっと身体を離すと、スマートフォンを取り出し、ある人物へ電話を掛けたのだった。

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