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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第32章 肩透かしの夜。


 「喉が渇いたら、冷蔵庫から好きな物を出して飲んでね?」

 そう言いながら、ジャケットをハンガーに掛け、クローゼットに吊るす。服を脱いでいると、背中に視線を感じる。振り返ると森脇さんがポーっとした目でこちらを見ていた。少し気恥ずかしい。未だ、お腹は出ていないけど、若い連中に比べたら、見劣りするんじゃないだろうかと。照れ隠しに「オジさんの着替えなんて見ていても楽しくないよ」と笑いながら言うと、彼女は顔を真っ赤にして視線を泳がせた。

 参ったな。彼女が何をしても、僕の目には可愛く映る。平川も同じ気持ちなんだろうかと、彼女を愛する部下の顔が思い浮かぶ。僕がこれからしようとしている事は、あいつを傷付ける事になるだろうか。でも、今更止められない。けれど、彼女は本当にそれでいいのだろうか。

 熱いシャワーを頭から浴びながら、心の中で何度も自分に問い掛けるが、明確な答えが見つからない。まあ、いい。出てから彼女に最終確認をしよう。森脇さんが「嫌だ」と言えば、引き下がれるくらいには大人だ。出来れば、そんな事は言って欲しくはないけれど。

 僕は一日の汚れを洗い流し、さっぱりすると、バスローブを羽織り、バスルームを出た。

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