おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第33章 呼び出し。
たまちゃんの家の前に着くと、車を降り、迎え出たご両親に出来る限り丁寧に挨拶とお詫びを告げる。しかし、彼女のお父上は、僕を渋い表情で一瞥すると、家の中へと入ってしまった。やはり、遅くなったから心象が悪いんだろう。殴られないだけ、マシなのかも知れない。お母上はにこやかに対応して下さったけど。
僕はたまちゃんに、「また明日ね」と言って背を向ける。お休みのキスをしたかったけれど、お母上の手前、それは出来なかった。残念だな。僕が車に乗ってエンジンを掛けると、たまちゃんとお母上は門まで出て来て僕を見送ってくれた。
僕はバックミラー越しに、たまちゃんの姿が小さくなるまで、彼女の姿を見つめる。次にこの車に乗せる時には、助手席に座って欲しいなと思いながら。
気持ちがモヤモヤする。たまちゃんは眠らなかったら、今頃、坂内部長にまだ抱かれていたのだろうか。たまちゃんの身体を、艶めかしい表情を思い出す。華奢で感度のいい身体。恥じらう顔。可愛い喘ぎ声。彼女の蜜の味。どれもいとも簡単に思い出せる。毎晩、彼女を思い出して自分で慰めているから。
僕の想いは知っているのに。彼女は坂内部長に抱かれるつもりだったんだ。そう思うと胸が苦しくなった。こんなに好きなのに……。何で君はヤマを好きになったの? どうして坂内部長に抱かれようとしたの? 君は僕をどう思っているの?
僕は苦しい想いを振り切る様に、アクセルを踏み込んだ。