おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第33章 呼び出し。
「アタシ……、また平川さんに迷惑を掛けてしまいましたね……。ごめんなさい」
たまちゃんはミラー越しに僕を見ると、そう言った。僕は「迷惑なんかじゃないよ」って返したけれど、彼女は謝るばかりだ。本当に迷惑じゃないのに。寧ろ、たまちゃんを乗せて車で走れるなんて、ちょっとしたドライブ気分なのに。すまなそうに謝られるよりも、僕は笑って「有難う」って言って欲しかった。だから僕は、買っておいたスポーツドリンクを彼女に手渡す。そうすれば、彼女は「有難う」って言ってくれる筈だから。
「少し水分を補給した方がいいね」と言って、ドリンクホルダーに用意しておいたペットボトルを後ろ手て手渡す。たまちゃんはそれを受け取ると、ちょっと泣きそうな笑顔で、やっと「有難うございます」と言ってくれた。
たまちゃんの目が覚めて、ちょっと遠回りをしたい気分に駆られる。チラっと時計を見ると、二十三時をとうに過ぎていた。今日は無理だなと、僕は諦めモードに入る。まだ、酔っているだろうし、早く家へ帰して寝かせてあげなければ。僕は少しでも早く着く様に、アクセルを踏み込んだ。