おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第7章 坂内龍弥という男(その1)。
高槻さんの言葉に堪えられなくなったアタシは、オフィスの扉を勢いよく開け放ち、廊下を走る。兎に角、あの場所には居たくなかった。
泣きながら廊下を裸足で走っていると、ドンと何かに体当たりし、アタシは反動で倒れ込んだ。
冷たいタイルの床に、殆ど裸同然の身体が打ち衝けられ、その衝撃で身動きが出来ない。いや、動けないんじゃなくて、動きたくなかった。
泣きながらオフィスを後にしたと言うのに、誰も追いかけて来てくれない。でも、それは当たり前なのかも知れない。
アタシみたいな冴えないコミュ障女よりも、可愛くて皆から好かれる女の子の方が、いいに決まっている。それに、経験のないアタシの替えなんて、幾らでもいるのだから。
「うっ……。ひっ……く……」
アタシは床に伏せたまま、その場で泣いた。惨めだった。アタシが誰かの為に役に立てるワケがないんだ。他の仕事を探そう。自宅で出来る仕事も、探せばあるかも知れない。
アタシが泣きながら、これからの事に考えを巡らせている時だった。フワッと温かい物が、アタシの身体に被せられたのだ。
「どこが痛いの? 大丈夫かい? 今すぐ医務室に……」