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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第7章 坂内龍弥という男(その1)。


 「ん……」と鼻にかかった息が漏れ、アタシの身体はピクリと震える。唯、頬を撫でられているだけなのに。身体がどんどん熱くなってくる。

 それが、切なくて。アタシは頬を撫でる坂内部長の掌に唇を寄せると、口元にある親指を口に咥えた。

(え……? アタシ、何をやってるの!? ってか、こんな事をしてどうするつもりなの? もう、どうしたらいいの!!!?)

 自分でも予想外の行動をしてしまい、アタシの脳内はパニックだ。どうしていいか分からず、坂内部長の指を咥えたまま、停止する。すると部長は、またクスッと笑い、アタシの口の中から親指を抜くと、それでアタシの唇をゆっくりとなぞって尋ねた。

 「どうして欲しいの?」と。耳元で囁かれた坂内部長の低い声が、下腹部まで響き、一層アタシの身体を火照らせる。でも、この火照りをどうやって鎮めればいいのか、分からない。どう伝えればいいのかさえも。

 アタシは唯、頬に添えられた坂内部長の手に自分の手を重ねて、彼の顔を見上げるだけだった──








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