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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第46章 訪問者、再び。


 「ん~!! お兄ちゃん! 会いたかったぁ~!!」

 玄関の方から女の子の甲高い声が聞こえてくる。大好きなお兄ちゃんに会えて嬉しいのだろう。小百合ちゃんの声は弾んでいた。パタパタと廊下を走る軽い足音が近付いて来る。

 アタシは未だお化粧が中途半端な状態だったから、寝室に入って来られたらちょっと不味いなと思ってドキドキする。アタシは山岡さんの恋人なんだし、堂々としていればいいのかも知れないけど。小百合ちゃんがどこまで性の知識があるのかは分からない。だけど、何となくそういうのを匂わせるのは恥ずかしいから。アタシは必死に手を動かして化粧を施す。

 「お兄ちゃん。小百合のリュック、お兄ちゃんのお部屋に置いて来ていい?」

 小百合ちゃんの山岡さんに尋ねる声が、扉一枚を隔てた向こう側で聞こえる。小百合ちゃんの問いに山岡さんは慌てた様子で、「取り敢えずジュースでも飲もう」と、扉の前から彼女を遠ざけた。

 リビングから、小百合ちゃんの燥ぐ声が聞こえてくる。その声を聞きながら、アタシは何とか化粧を終え、どうしたものかと考えた。帰った方がいいのだろうか。でも、未だ山岡さんと一緒に居たい。小百合ちゃんは、今日も泊まる事を前提に訪ねて来たのだろうか。

 先ずはそれを確認する方が先だよね?

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