おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第50章 【番外編】真夏の出来事(その1)。
「うわぁ……! 凄い綺麗……」
白い砂浜が広がる浜辺に到着すると、アタシは思わず感嘆の声を上げた。目の前に広がるのは、青い空との繋ぎ目が分からないくらい綺麗な青い海、そして白い砂浜。アタシ達以外に人はいなくて。ここが貸し切り状態である事を知った。
「高槻さんってマジでお金持ちだったんですねー!?」
そう言いながら、下出は持っていた荷物を放り投げ、着ていたシャツを脱ぎ捨てると海に向かって走って行く。山岡さん、川上さんも下出に続いて水着姿になると、ワイワイ言いながら走って行った。
アタシ達が居るのは、高槻室長が所有している南の島。持ち主と関係者以外は立ち入り禁止な為、他に人はいない。コテージが一棟建っているだけで、他に建物もない。ほぼ、手つかずの自然が残っている小さな島だった。高槻さんは、ここをお祖父様から譲り受けたそうなんだけど、島とかをプレゼントしちゃうなんて、高槻さんのお祖父様ってどんだけお金持ちなんだろう。あの、有名な東乃宮財閥なんかと同じレベルなのだろうか。
「若者は元気が良くていいねぇ……」
ボートを泊めてある桟橋から、ゆっくりアタシ達の後ろを歩いて来ていた坂内部長は立ち止まると、太陽の光でキラキラ光る水飛沫を上げて燥ぐ三人を見ながらそう言って優しい笑みを浮かべた。
「元気が良いのは結構な事ですけど、この荷物は僕達が運ばないといけないんですかね?」
平川さんは、三人が放り投げた荷物を見て溜息を零す。
「まあ、他に人はいないから盗まれる心配はないだろうし、放っておきなさい。そう言う平川は泳がなくていいのかい?」