おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第2章 AD部。
「着いたよ」と言って平川さんが綺麗な笑みを浮かべて扉を開ける。するとそこには窓のない閉鎖的な空間にデスクが複数並び、平川さんレベルのイケメンさんが三人程座っていた。
一日に何人ものイケメンさんを生で見たアタシは、その迫力に一歩後ろへ後ずさる。しかし、アタシが後ずさったのは、それだけが理由ではない。
それは、扉が開いた瞬間、目に飛び込んで来た異様な物体のせいだった。窓がないのは、この部屋が地下階にあるからなのは、分かってはいたのだが……。
(何故にオフィスにベッドが!?)
アタシが何故そう思ったのかと言えば、机の並んだ奥に深紅の光沢のある生地で覆われた、キングサイズの天蓋付ベッドが我が物顔で鎮座していたからだ。
アタシの見間違いなんだろうかと思って思わず二度見したが、間違いない。あれはベッドだ。紛れもなく。
ハードな部署で、泊まり込みが多いのだろうか等と思いながら、平川さんに促されて、アタシは室内へと足を踏み入れる。
「AD部へようこそ。下出君、森脇さん。デザイン室長の高槻 雅史(タカツキ マサフミ)です」
そう言って眼鏡を掛けたクールなイケメンさんが立ち上がり、アタシ達の傍まで歩いて来た。