逢いたいから~恋とも呼べない恋の話~
第1章 出逢い
★プロローグ★
ひとめ惚れ、片想い。世の中には恋愛に関しての言葉があり余るほど溢れている。でも、自分がそんな体験をするなんて、そのときまで、私は考えたこともなかった。
いや、私の場合、この突然降ってきた恋は、実をいうと、恋とも呼べないようなものだった。何しろ、今でさえ、相手は私が彼に抱(いだ)いていた想いを知りさえしないのだから。―もっとはっきり言ってしまえば、彼の記憶の中に、私という存在がたとえ片鱗でも、残っているかどうかも疑わしい。
だから、私は、この話は誰にもしたことがない。できるはずがないではないか、たった一度逢っただけの男性にたった一瞬で心奪われてしまっただなどと、幾ら私でも恥ずかしくて他人(ひと)に話しようがない。ましてや、相手が私のことを憶えてさえいないかもしれないというのに。
けれど、この〝恋〟の話を誰にも話さないで、ずっと心にしまい込んでおくのも苦しい。話せないけれど、誰かに聞いて欲しい。そんな体験談の一つや二つ、きっと誰にでもあるだろう。
ひとめ惚れ、片想い。世の中には恋愛に関しての言葉があり余るほど溢れている。でも、自分がそんな体験をするなんて、そのときまで、私は考えたこともなかった。
いや、私の場合、この突然降ってきた恋は、実をいうと、恋とも呼べないようなものだった。何しろ、今でさえ、相手は私が彼に抱(いだ)いていた想いを知りさえしないのだから。―もっとはっきり言ってしまえば、彼の記憶の中に、私という存在がたとえ片鱗でも、残っているかどうかも疑わしい。
だから、私は、この話は誰にもしたことがない。できるはずがないではないか、たった一度逢っただけの男性にたった一瞬で心奪われてしまっただなどと、幾ら私でも恥ずかしくて他人(ひと)に話しようがない。ましてや、相手が私のことを憶えてさえいないかもしれないというのに。
けれど、この〝恋〟の話を誰にも話さないで、ずっと心にしまい込んでおくのも苦しい。話せないけれど、誰かに聞いて欲しい。そんな体験談の一つや二つ、きっと誰にでもあるだろう。