逢いたいから~恋とも呼べない恋の話~
第5章 再会
それから更に二時間後、披露宴は滞りなく終わり、萌は会場となったホールをユッコと出た。既に新郎新婦は今夜の宿泊先となる大阪のホテルへと向けて出発している。新婚夫婦は明日の朝、関西国際空港から、ハワイに向けて飛行機で旅立つことになっていた。
ホテルのロビーをユッコと並んで歩いていいると、ふいに後ろから呼ばれた。
「萌さん」
萌は振り向いて、愕いた。
祐一郎が一眼レフを肩に掛けて立っている。
「良かった、間に合って」
傍のユッコが意味深な視線で萌と祐一郎を交互に眺めている。
「それじゃ、私は先に帰るわ」
ユッコは萌に片眼を瞑ると、早口で囁いた。
「本当に単なる知り合い? 今夜、電話するから、どうなったかを教えてよ、あのイケメンカメラマンと」
〝お先に失礼します〟と、ユッコは祐一郎には、別人のように淑やかな身のこなしでお辞
儀をして去っていった。
「少し話しませんか?」
祐一郎が指す方向を見る。いかにもカメラマンらしい大きくて長い指を持つ手は綺麗だ。その指先が示す方向には、ロビーの一隅を低い衝立で仕切った喫茶コーナーが設置されていた。
彼に誘われて、否と言えるはずもなかった。萌はふいに眼の前にひらけた〝非日常〟の世界へ躊躇いがちに脚を踏み出したのだった。
ホテルのロビーをユッコと並んで歩いていいると、ふいに後ろから呼ばれた。
「萌さん」
萌は振り向いて、愕いた。
祐一郎が一眼レフを肩に掛けて立っている。
「良かった、間に合って」
傍のユッコが意味深な視線で萌と祐一郎を交互に眺めている。
「それじゃ、私は先に帰るわ」
ユッコは萌に片眼を瞑ると、早口で囁いた。
「本当に単なる知り合い? 今夜、電話するから、どうなったかを教えてよ、あのイケメンカメラマンと」
〝お先に失礼します〟と、ユッコは祐一郎には、別人のように淑やかな身のこなしでお辞
儀をして去っていった。
「少し話しませんか?」
祐一郎が指す方向を見る。いかにもカメラマンらしい大きくて長い指を持つ手は綺麗だ。その指先が示す方向には、ロビーの一隅を低い衝立で仕切った喫茶コーナーが設置されていた。
彼に誘われて、否と言えるはずもなかった。萌はふいに眼の前にひらけた〝非日常〟の世界へ躊躇いがちに脚を踏み出したのだった。