テキストサイズ

捨て犬

第13章 聞かないで

それから俺は
エミをすぐそばに座らせ
身体に手を回したまま
酒を飲み続けた



しばらくすると
エミは
ちょっとしか飲んでないのに
酔ったみたいで
座り方が頼りない


ちょっと

表情もゆるくて…


なんかいい



「もたれていーよ」

って言ったら
俺の肩に頭をのせ

肩を抱いてやると
胸に頬をすり寄せるようにして
俺に抱きついた


あぁ…気持ちい…


すげぇ気持ちいいよ、エミ


それからエミは
何度も何度も
ゆっくりと
俺の胸に頬をすりよせた


すりっ・・すりっ・・・って



「気持ちいいのか?」


「ん……」


「眠い?」


「ちょっと…」


「寝てもいーよ」


「うん……」


かわいいな

ほんと
子供みたいで。


俺は
そんなエミをベットに寝かせて
膝枕をしてやった

エミは目を閉じて
気持ち良さそうな顔をしてる

髪を
やんわりと撫でると

少し

微笑む




幸せだな…



こんなことで

俺、幸せ




ふとテーブルに目をやると
テーブルには
食後の食器が置かれたまま


それも
なんだか

俺は嬉しかった



あっという間に
眠りに落ちてしまったエミ


そのエミの温もりを感じながら

俺も
眠りに落ちて行った


ストーリーメニュー

TOPTOPへ