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捨て犬

第15章 目、つむって・・・

翌日



帰宅する夕方までの間
俺とエミは
何度もメールで
連絡を取り合った


昨日の夜よりは
元気そうなエミだったけど
暇だと寂しいだろうと思って
エミの料理が食べたいから
いつもより沢山おかずを
用意しておいてくれと
夕食のリクエストをしておいた


そして夕方


駅について
もうすぐ帰ると
エミに電話を入れ

俺は
帰り道にある
バイト先のパン屋に寄った

世話になってるお礼に
土産を渡すためだ


「こんにちは~
おばさん、社員旅行に行ってきたんで
お土産持ってきました」


「あら、ありがとね~わざわざ。
あ、エミちゃんね
なかなか上手だったわよぉ~
どうだった?」


「え?
えっと・・なんのことかな・・」


「やだぁ、昨日の・・
あ、そうよねぇ
旅行だったんだものね?
じゃあ・・まだ見てない?」



「あ、はい・・多分・・」



「昨日はバイトの子が
沢山来る予定だったから
ちょっとだけ
パン作るの手伝ってみる?
って先週エミちゃん誘ったのよ。

そしたらエミちゃん
珍しく
すこ~し笑顔みせてね
嬉しそうだったわよ~
おばさん
エミちゃんのあんな顔
初めて見たわ

それで昨日
午後からパン作るの
手伝ってもらってね

手伝ってもらった
焼きたてのパンを
帰りに持たせたのよ

てっきり
2人で食べてると思ってたわ

嬉しそうに帰ってったから」




え・・・



そんなの

俺全然知らねぇ・・




ヤバイ

喉、痛くなってきた




泣くの我慢するって

つれー




ちょっとパン作りを
手伝うだけ

この先
いくらだってチャンスはある

けどどうしても
パン作るの手伝いたくて
バイト休まなかったんだよな?


俺居なくて
不安だったのに・・

俺に早くパンを
食べさせたかったんだろ?


そーだよな?



それから俺は
目頭が熱くなるのを
必死で堪えながら
おばさんとの話を切り上げ
店を出た


そして

走り出したんだ



エミが待つ
アパートまで。



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