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捨て犬

第15章 目、つむって・・・

ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・



アパートが近づく


もうちょっとだ・・



ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・




なんだよ

来ちゃったのか



・・エミ




向こうから

エミが歩いてくるのが見えた




エミは

走ってる俺を見つけたのか

突然走り出し



俺も必死で走り続けた



そんな走んなよ

転んだらどうすんだよ


エミ


ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・


エミ・・



・・・エミ?




よく見てみると




エミは



泣いていた




くそ・・




「ハァ、ハァ、エミ・・・」



人通りの多い道


やっと
手の届く所まで
近づいたエミを

俺は
躊躇いもせずに
抱きしめた



荷物を
持っていない方の腕を
エミの腰に回して

俺の胸の中に
エミをしまったんだ




俺の胸の中で

何も言わないエミ



俺も


何も言えなかった







喉が痛くて





猛烈に

泣いてしまいそうで。

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