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捨て犬

第16章 もう言うなっ


あ~・・もうこんな時間


昼休み無しでも
残業になってしまった俺は
仕事を片付けると
急いで駅に向かい
電車に乗るとすぐ
「電車乗った」って
エミにメールを打った

もうちょっと
早く帰ってやりたかったんだけどな・・

相変わらず
あっさりした
エミの返信に苦笑いしながら
電車に揺られ
最寄りの駅に着くと
俺はキョロキョロしながら
アパートに向かった

もしかしたら
エミが途中まで
迎えに来てるかもしれないって
思ったからだ


あ・・・やっぱり


エミが
向こう方から
歩いて来るのが見えた

手を振って見せると
エミが俺に気付いて
小走りで駆け寄ってくる


なんて幸せなんだろ・・俺



「ただいま」


「おかえり」


エミの手を握り
俺のポケットにしまうと
チラッと
俺を見上げるエミが

かわいい。



「冷たいな、手。
寒いだろ?
外にでる時は
もっと着て来なきゃ…」


「カズマ」


「何?」


「お給料、もらったの」


「あぁ、よかったな
いっぱい頑張ったもんな!」


「うんっ」


エミは
少し声をはずませて
口角を上げた


よかったな、エミ


エミが
嬉しそうで

俺も嬉しいよ

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