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捨て犬

第17章 もっと・・近くに

俺がコンビニから帰って来ても
ごはんが炊けても

エミは
全く起きる様子がない


俺は
ベット脇に腰を下ろし
エミの寝顔を
ずっと見ていた


穏やかなその寝顔を見てると
俺も眠くなってくるな…


そんなことを
考えながら
俺は
ベットに突っ伏して
眠ってしまったみたいだ



何かが
肩に触れた気がして
目を覚ますと


エミが
俺に毛布を
掛けてくれていた


「カズマ、風邪ひいちゃうよ?」


「あ・・エミ・・
起きてたのか…」


「うん・・・
長い時間
寝ちゃったみたい」


「ん、気持ち良さそうに
眠ってたよ」


時計を見ると
もう3時


「エミ、チュウして」


「ん・・」


そう返事すると
エミは俺に顔を近づけて
音なんてしない
触れるだけの
優しいキスをしてくれた


クスッ

かわいいな・・


「腹減った?」


「うん」


「おにぎり、食う?」


「うんっ」


ちょっと
目を丸くして
俺を見るエミは
もう
怪我のことを忘れてるみたいだ


「俺が握ってやるからな?」


エミは俺に
大きくうなずいて見せた



あぁ・・今気が付いた


おにぎりさ

エミのためじゃなくて
俺が食べたかったのかな


エミの
親代わりみたいなことばっか
やっててさ

ちょっと・・・

誰かに
頼りたくなってたのかも


でも

俺の親
もう、いねーし


おにぎり
握ってくれたりしねーし


だから
自分で握ってでも
おにぎり
食いたくなったのかもな・・



エミには

そんなこと
言わねぇけどさ。

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