捨て犬
第17章 もっと・・近くに
煙草を吸い終わると
それを待っていたかのように
エミが振り向き
俺に抱きついた
「ん?どした…エミ…」
優しくつぶやきながら
エミを抱きしめて
髪をなでると
エミはもっと俺にすがりついた
「もっと…カズマ…」
甘えてんな
そう思って
俺はもっと力を込めて
エミを抱きしめ
軽いキスをしてやる
「もっと…」
「もっと?」
「ん……もっと」
「いいよ」
好きなだけ
してやるよ
エミが
それで落ち着くなら
こんな風に
甘えてくるエミを見てると
俺は間違ってたのかな・・と思う
『エミを救ってやらなきゃ』
なんて思ってたけど
まずは
エミが心穏やかでいられるなら
それでいいのかな・・。
そしていつか
俺の前だけでもいいから
笑えるようになることが一番大事で
その先のことは
その時に
考えればいーんじゃないかって。
その時ってのは
エミが
俺を
愛してくれた時
なんだけどさ……