捨て犬
第18章 えっ?
Side カズマ
今日、エミは
由香ちゃんと
買い物に出かけた
仕事中
心配で仕方なかったけど
大丈夫だったのかな…
エミが気になる俺は
いつもより
足早に帰宅して
アパートの階段を駆け上がった
「ただいま〜っ」
「おかえりなさい」
エミが
いつものように
台所から小走りで
玄関までやってきた
あ、あれ?
なんか……様子が変
エミは
ちょっと
うつむき加減で
俺の顔をあんまり見てくれない
やっぱり
疲れたのかな…
「エミ?どした?
買い物…疲れた?」
俺は
優しくエミの頬に触れて
エミの顔を上向かせた
ただいまのキスしたら
抱きしめてやるから
甘えさせて
やるから
あっ…
その時気が付いたんだ
いつもと違うエミの理由に。
「エミ…」
エミの頬に添えた手の親指で
目線を落としたままの
エミの唇に
そっと触れると
控えめに
塗られたグロスが
俺の親指を濡らした
「よく…似合うよ…」
ゆっくりと
エミに顔を近づけ
俺は
グロスで濡れたエミの唇を
ひと舐めし
そしてその後
首をすくめた
エミの顎を持って
その唇の中へと
舌を忍ばせた
「…っ……」
何かが塗られた唇に
キスをしたのは
久しぶりだった