『捨て犬』第3章「お前、泣けるじゃん」　26ページ

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捨て犬

第3章お前、泣けるじゃん

おにぎりを買うなと
俺に言われて
好きな食べ物を考えたらしい

だけど
分からなかったんだ

アイツ

ろくなもん食ってねーから

そしたら
テレビで見た
カレーを思い出したんだって

なんかさ
テレビに映る様子が
アットホームな感じで
食べたかったんじゃねーかな・・

手作りのカレー

作って俺にも
食べさせたかったんだってさ

なんか
うれしいよ

歩いてる人に声かけて
スーパー教えてもらって
カレー粉の裏見ながら
材料買ったんだって

それから部屋に
帰ろうと思ったら

道がわかんなくて
ずっとうろうろ
してたらしいんだ

俺の名前も
住所も
電話番号も
何も知らないんだ

仕方ねーよな

けどさ
笑っちゃうんだぜ

カレー作るって
買い物してきたのに
アイツは何にもできなくてさ
結局俺がカレー作って
ごはんは
コンビニで買ってきたんだ

今から食うんだ

その
手作りのカレー

2人で

2人きりで

俺と

アイツで。

どんな顔して

食うのかな・・・

アイツ。