テキストサイズ

捨て犬

第3章 お前、泣けるじゃん

2人でテーブルを囲んで
両手を合わせた


「残さずに全部食えよ
俺が作ったんだから」


「うん」


ヤツの顔を
こっそり見ながら
俺はカレーを食べた


けどさ

すっげー楽しみにしてたのに
ヤツは結局
無表情のまま
カレーを食べやがったんだ


マジかよ、おい。



そんで
黙ってひたすら食ったあと
俺の目を見て


「ごちそうさま」


って……

ほん~~の少しだけ笑ったんだ




やっべ


なんか俺泣きそう




多分

俺にしか
わかんないくらいの
わずかな微笑みだったんだ




もっと


コイツを
笑わせてやりてーな…




「なぁ、お前さ
どこの誰だか知らねーけど


もう…

勝手にどこにも
行くなよな」




「うん」







「俺が、名前つけてやっから」







「…う…うん…」



ちょっと
涙ぐんだヤツの腕を引っ張り

俺は
ちゅっとキスをした



そういえば

ヤツとキスをしたのは

この時が
初めてだった




ストーリーメニュー

TOPTOPへ