捨て犬
第20章 涙出てきちゃいました
掃除が終わると
俺達は
買い物に出かけた
手をつないで歩くのも
なんだか
新鮮な気落ちだ
相思相愛っつ~の?
俺はかなり
上機嫌だった
あ、萩原だ
商店街を歩いていると
前から
萩原が歩いてきた
「おう!萩原!」
「お~、カズマ
相変わらずラブラブだのう」
「すまんなぁ」
「エミちゃん、こんにちわぁ
まだカズマと付き合ってんの?
こんなエロと別れて
俺と付き合えば?
もっといいことあるぜ~(笑)
一回デートしよ~よ」
エミは
すっと俺の後ろに隠れて
俺の手を硬く握った
「そ~ゆ~こと言うなよ
怖がってんじゃねぇか
お前軽すぎっ」
「ごめんごめん
エミちゃん冗談だから。
あ、そうだ
かぁちゃんが
お前に頼みたいこと
あるって言ってたぞ
ちょっと
パン屋よってみてくれよ」
「頼み?」
「あぁ。そんじゃ俺行くわ
じゃ、またね、エミちゃん!」
そう言って萩原は
エミの肩をポンっとたたいた
「こらっ!触んな!!」
萩原は
ひらひらと
手を振りながら
歩いて行ってしまった
いいやつなんだけどな
軽いんだよあいつは。
「エミ、大丈夫?
あいつ、いいやつなんだけどさ」
「うん、知ってる
だから大丈夫
ちょっとビックリしただけ」
「じゃ・・・パン屋行く?」
「うん」
なんだか
ニヤけた顔の萩原が
気になったけど
世話になってる
おばさんの頼みは断れない
俺は早速
エミとパン屋に向かった