捨て犬
第7章 して欲しくねーよ
「さて、そろそろ出かけるかな…
あ、お前さぁ
夕方まで
あんまり外に出るなよ?
高校生がウロウロするような
時間になったら出かけてもいーけどさ
意味…分かるよな?」
「うん」
「ほんじゃ、行ってくるよ」
「うん」
今日もエミは
俺の後について
玄関まで来る
そして俺は靴を履いて振り向き
チュッってキスをする
「カギかけろよ」
と、いつものセリフ。
「うん、いってらっしゃい」
笑顔じゃないんだけど
エミのそんな普通の言葉が
俺は妙に嬉しくて
玄関のドアを閉めた瞬間
にやける顔を
手でおおって隠していた