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捨て犬

第8章 ひとりにすんな・・・

やっと電車に乗ったのはいいものの
電車の中じゃ
走る事も
急ぐこともできないから
逆になんかムカつく俺。


いつもより
電車の速度遅くねーか?

とさえ思う。



時計ばかり気にしながら
やっと駅に着くと
俺はまた
でかい荷物を持って
走りはじめた


ハァ、ハァ、
ハァ、ハァ、ハァ…


運動なんてしてねーから
息が上がって
足が重い

でも走ることは
絶対やめねー



エミ
どーしてっかな…

なんか食べたかな…

寂しがってるかな…

もしかして
もう寝てたりすんのかな…

風呂は入ったのかな…



エミの事で俺の頭は
はち切れそうだ


ハァ、ハァ、
ハァ、ハァ、ハァ…


やっと・・・着いた・・


アパートが見えてくると
走る足を少しゆるめ
俺は額の汗をぬぐった


マジ疲れた


吐きそう


そう思いながら
アパートの階段に目をやると
そこに人影が見えた


え?

誰かいる?



あれ?


・・・・エミ?


エミなのか?



俺は
ゆっくりと
その、ぴくりとも動かない
人影に近づき
暗闇の中、目をこらせた



階段の一番下

顔を伏せてひざを抱いたまま
小さくなって
そこに座っているのは

エミだった


「エミ・・」


エミは
そんな場所で
うたた寝していたのか
ゆっくりと顔をあげ
うつろな目で俺を見た



「あっ・・・

…ぅぅっ…ぅっ…」


そして
エミは急に泣き出して
立ち上がり



思いきり


俺に
抱きついた


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