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果てない空の向こう側【ARS】

第3章 四男・和也(漫画家)

母さんには心配かけたな…。


進学もせず漫画ばっかり描いてる俺のこと、信じて待っていてくれた。


漫画家なんてなれるかどうかわからなかったのに…。


これからだって、仕事が継続してあるかどうかわからない。


人気がでなけりゃ、即アウトだ。


頑張って売れて、親孝行しなくちゃな…。


和「母さん、連載とれたら毎日すき焼き食べさせてやるよ。」


母「なによ、それ。さすがに毎日じゃ飽きるわよ。」


和「肉を日替わりにすればいいよ。松阪牛とか十勝牛とか近江牛とか。」


母「馬鹿言ってんじゃないわよ。」


そう言いながらも、母さんはまんざらでもなさそうだった。


雅「母さん、和也、できたよ。おいでよ!」


祝杯の用意ができたと、雅兄が呼びに来てくれた。


台所に向かう母さんの背中に、声にならない声で言った。


「ありがとう…。」


【四男・和也(漫画家)】

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