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ディアブロ☆~共同生活約150日~

第13章 悩み


「ただいま…。」



『あ、奏太くんおかえりなさい。』




ある日、撮影を終えた奏太くんが

一人早めに仕事を終えて帰宅した。






『まだ夕食には早いけど…

何か食べます?』



「ううん。大丈夫。」





(奏太くん…なんか少し暗い?

仕事忙しいもんな。

ドラマ撮影も朝早いし…。)






疲れた様子で帰ってきた奏太くんは

自室に荷物を置いたあと

リビングのソファに腰かけて黙っていた。








「陽菜ちゃん…。」



『ん?どうしたんですか?』



「俺、お芝居向いてないかなぁ。」



『え?何かありました?』



「いや…何となく演じてて

考えちゃってさぁ。

俺…まだ人生経験も無いし

こんなんでいいのかなぁって。」



『うーん…。』






(やっぱり色々葛藤とかあるんだな。

でも私が仕事に対して口出し出来ないし…。)






「芝居も仕事だからさ、一生懸命頑張ってるけど

なかなか伸びなくてさ。

それなのにこんないい役もらって

プレッシャーっていうか。

前までは自分が出せるバラエティーだったり

歌の仕事とうまく両立出来てたけど

今はドラマと映画の仕事ばっかで

なかなか両方平等にならなくて

これでいいのかなって…。」



『…。』



「…。」





(どうしよう。こんなとき

なんて言ったらいいんだろう…。)




私は何も言葉をかけられずに

微妙な沈黙が流れた。

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