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ディアブロ☆~共同生活約150日~

第17章 観覧


(せめて誰か居そうな場所まで行かなきゃ…。)





不安と焦りでいつのまにか

足早に歩く。





しかし無機質で代わり映えのない

廊下の風景はより焦りを募らせる。









(また行き止まり!

さっき来たのもここだよね…。

なんで…。)







私はさっきと同じ行き止まりにぶつかり

踵を返そうとした。














「おい!何してんだよ。」



『へ!?』





いきなり大声がして

驚きながら振り返ると

少し呆れた様子の逞くんがいた。








「何してんだよバカ。」



『あの…迷っちゃいました。』



「だと思ったぜ。なかなか戻って来ないから。

まだ多田さんも戻って来てないし

さっさと行くぞ。」



『はい…すみません。』







私は申し訳ないと思いつつも

逞くんの顔を見てホッとした。







「まったく。創立記念パーティーの時といい

今日のことといい

なんで俺らがお前の心配

しなきゃなんねーんだよ。」



『ごめんなさい…。』





私は一人ぼっちで迷っていた

恐怖から解放され

安心感で目が潤んだ。









「バーカ!泣くんじゃねぇよ!

大丈夫じゃないくせに

強がんなよな。」



『はい…。

でも…ありがとうございました。』



「お礼されるようなことはしてないけどな。

ほら、着いたぞ。

もうちょいしたらスタジオ行くからな!」



『はい!』



「てかお前、ケータイ持って行かなかったのか?」



『…あ。』









私がポケットを探ると

中にはケータイが入っていた。








「本っ当にバカだな!」



『はい…。』






そう言って笑った逞くんを見て

なんだか少しホッとしたのと共に

何故かわからないけど

嬉しい気持ちになった。

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