ディアブロ☆~共同生活約150日~
第17章 観覧
「はーいOKでーす!
お疲れ様でした~。」
―パチパチパチパチ。
スタジオ観覧に来ていた
お客さんの拍手が鳴り
その日の収録が終わった。
私は多田さんに続いて
スタジオを後にした。
「どうだった?初めての観覧。」
『とても楽しかったです!
わざわざありがとうございました。』
「それなら良かった。
たまには仕事中のメンバー
見るのもいいでしょ。
次は違う局だから
一緒に出て須藤さんは
寮に戻ってもらえる?」
『わかりました。』
私はメンバーと多田さんと分かれ
寮へ戻ってその日の仕事をした。
(今日は水輝くんと純くん以外は
次の撮影が終わったら帰ってくるから
早く仕事済ませて食事の準備しなくちゃ。)
私が寮に戻り少し慌ただしく
夕食の支度をしていると
あっという間に琉斗くん、
奏太くん、逞くんが帰宅した。
「それにしても本当にバカだよな!」
「逞くん、そんなにバカバカ言ったら
陽菜ちゃん可哀想じゃん。」
迷子の事を茶化す逞くんに
奏太くんがフォローをしてくれた。
『まさかあんなに誰にも
会わないなんて思ってなくて…。』
「あの時間ほとんど収録中で
みんなスタジオに居たんだろうね。」
(奏太くん…優しい。)
「しかしケータイの存在に
そこまで気がつかないか!?」
(ぐぅ……。)
「陽菜はしっかりしてるけど
ちょっとドジだよね。
逞くんに似てる。」
「琉斗!
俺のドジはテレビ用だ。」
「どーだか。」
「おい!」
『まぁまぁ。私も逞くんも
おっちょこちょいってことで!
ごはん冷める前に食べましょう。』
「一緒にすんなよ。」
少しすねた逞くんをよそに
私たちは夕食を食べ始めた。
(それにしても琉斗くん…陽菜って呼んでた…。)
少しドキっとしつつ
何も無かったように
その場を過ごしていた。