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方位磁石の指す方向。

第6章 scene 5.5






静かな智の部屋は、
いつもに増して
広く感じた。

…なんでかって?

……だっていつもより、
智の体温がすぐ近くにあるから。


「…俺たちさぁ、付き合ってから
もう三ヶ月も経つんだね…」

「そっか、三ヶ月かぁ。
案外あっという間だねぇ…」


智がにへらっと笑い
口を開く。


「ねぇ。
俺のこと好き?」

「へ?」


それは思いもしない
問い掛けだった。


「俺のこと、好き…?」

「…うん、」


急上昇していく体温が、
智に伝わるんじゃないかってくらい
熱かった。

ドクドク、と心臓が痛いくらいに
鳴っている。


「じゃあ!いい?」

「…今から?」

「うん、シたい…です」

「じゃあシよ?」


智をベッドにゆっくり押し倒し
いつもみたいに目を合わせて、
にこっと微笑んでやる。


智はそんな時間も惜しいのか
キスを強請ってきた。

もう、
それなら──…


望み通りにしてあげる。

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