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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6






ずーっとそのことを考えていたら
いつの間にか日付を跨いでいて。

慌ててリュックから携帯を
取り出した。


『翔さん、おやすみ。』


翔さんが寝ちゃう前に、
いつも少しだけ話してから寝る。

それが日課。

……全っ然既読つかない…。


なんて、女の子みたいに
じーっと画面を見つめたり、
画面を優しくなぞったり、
会話履歴をスクロールして見たり…。


いろんなことしたけど、
既読はつかないまま。

…もしかしたら寝ちゃったかなぁ。

こんな時間に連絡なんて、
迷惑だよね…。


ふうっと息を吐いて
アプリを閉じた。

…寂しくなんてない。
今日はたくさん好きって言ってもらったし
言ったんだから…。


「…ばぁーか…。」


暗くなった画面を見つめたまま
そう呟いた。

そんなことしても変わらないけど。


…ばぁーか。

翔さんのバカ。アホ。
おたんこなす。


……。





…大好き。



大好きだよ、バカ…。

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