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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6






好きな子には優しくしたいし
それに、こんな俺で汚すのが嫌で。

だから

俺は二宮を抱けないし、
抱くつもりも一切ない。


「…ほんと今の、違うから…忘れて!」

「…や、あの…翔さんが、
シたいんだったら…

俺と、シたいんだったら…別に…」
「俺が!俺がだめなんだよ!」


言い切ってから、
ハッとした。

二宮が眉を下げてこっちを見てる。

…違う。違うから。

二宮とシたくないわけじゃない。


「…ごめん、そうゆうんじゃない。
二宮と、シたくないとか、
そうゆうんじゃないから!」

「…わかってる。でも、」

「ごめん、ほんと違うから。

…熱で具合悪いだけだから。
二宮にも移したくないし、
今日のところは帰りなよ?ね?

俺はもういいから。」

「やだ、翔さんのお母さん、
帰り遅いんでしょ?」


なにいったって、
聞く耳持たないから。

「今日は、帰って…
ひとりにさせてほしいから」

「っ……」

「二宮の気持ちもよくわかるから…」

「っ、わかってない!
翔さんのばぁあかっ!」


って、部屋を飛び出してしまった。





…これで。

これでよかったんだ。

……仕方ない。



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