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方位磁石の指す方向。

第7章 scene 6

二宮side



翔さんに翻弄されっぱで、
なにが起こってるかとか
よくわからなかったんだけど。

…翔さんとの距離が
また少しだけ近付いた気がして。

それが嬉しくて帰りは
ずっとニヤニヤしていた。


「…なにニヤけてんの」

「んん?なーんでも。」


送る、って言ってくれたことも
嬉しくて、やっぱり頬が緩む。

あぁ、好きだなぁ。
こんなに好きで、困っちゃうって。


「っふふ、ほんとどうしよ」

「なにがだよ」

「翔さんのこと好きすぎて、
どうにかなりそう…」


触れ合っていた手を
きゅ、と優しく握れば。

ぎゅ、と倍の力で
握り返された。

びっくりして上を向けば、
唇が触れ合った。


「……っは、」


唇が離れたと思えば、
またくっついた。

隙間もないくらいに重なった唇。

熱くてどうしようもない。

唇が蕩けてしまいそうだ。



「んっ…は、」


ブロック塀に追い詰められて、
舌を絡められる。

唇が離れれば、
今度は視線が絡む。


「…好きだよ、
どうしようもないくらい…」

「…俺も、好き…」


あぁ、このまま時間が
止まってしまえばいいのに。

ずっとこのままならいいのに。

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