方位磁石の指す方向。
第8章 scene 7
「せんせーぇ、わかんないよ~!」
「相葉なら解けるだろう?」
「ううっ…」
雅紀のバカでかい声が聞こえて、
黒板を見れば、
教担と楽しそうに戯れていた。
…やっぱ、雅紀ってバカなんだな。
色んな意味で。
「……ぶふっ…」
堪え切れなくなって、
吹き出してしまった。
「ちょ。しょーちゃーん、
なに笑ってんだよー!」
「くくっ…雅紀ってやっぱアホだな〜って。」
「じゃあ翔ちゃんが解いてよ〜」
唇を尖らせるから、
チョークを雅紀から奪って、
黒板に答えを書いた。
そうしたら、
クラスのヤツらがわっと歓声を上げて
教担もうんうん頷いてる。
「…んー、相葉には課題を出すかな。」
「ええっ、酷くないですかぁっ…!?」
…あぁ、やっぱ俺は、
雅紀の友達でよかった。
そんなふうに思った数学の時間だった。
席に戻れば、
また視線の先には二宮がいる。
それをずっと見てたら、
可愛いな…なんて思ってしまう。
授業を真剣にうける姿も
可愛いなんて――…
「っ……」
…今、二宮と目が合った、…気がした。