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方位磁石の指す方向。

第8章 scene 7

二宮がside


隣の校舎には、
翔さんがいる。


それだけで、
授業頑張ろう、って思えて。

なんて俺は単純なヤツなんだろう…なんて。


「……ふふ、」

「おい二宮ぁ、何笑ってんだぁ」

「ふぇっ…!?」

「笑ってる暇あるんだったら
この生物の名前わかるだろ?」

「ぅえっ、えっ…ええっとぉ…」


俺がしどろもどろしてたら


「…これを解いたら、
生物の課題減らしてやってもいいぞ?」

「マジですかっ…」


これはやるしかない!

と思って教科書をパラパラめくるけど…。


…どこに載ってんだ、
この気味の悪い生物…。


「二宮、資料集に載ってんぞ」


相川が俺の脇腹をつついて
見せてくれた。


「ぁ、えと…アオ…アシカツオドリ…です、
ガラパゴス諸島に生息してます」

「ん、オーケー。
つうわけで、課題減らしてやんよ」


にっと微笑まれ、
心做しか嬉しかった。


「相川、さんきゅ」

「いーえ」


…やっぱコイツ、
案外頭いーんだな。

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