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方位磁石の指す方向。

第9章 scene 8






ねぇ、翔さん…


「っあ、」


俺、やっぱり…

満足、できないよ…


浴槽のふちに頭を預けて、
自身をスライドさせる。

ぴくりと肩が揺れ、
瞳の水分量が増える。


あぁ、翔さん

俺、足りない

もっと欲しい

もっと愛して


「っ…ぃ、くっ…」


体が痙攣して、
勢いよく飛沫が飛び出た。

湯船に浮かぶ白い粘膜が
なんだかいやらしくて。

目を背けてしまう。


背徳感が俺を襲う。

あぁ、でもこれ…
すっごい、気持ちい、かも…


肩で呼吸を繰り返し、
湯船にもう一度浸かる。


「…はぁ…」


言葉だけじゃ、
あんな簡単な行為だけじゃ、
もう俺は満たされないのかもしれない。

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