方位磁石の指す方向。
第2章 scene 2
「おはよ。二宮。」
「あ、う…おは、よ、ございます…」
なんで翔さんは
俺にキスしたんだろ。
自然と、嫌って気持ちはなくて、
ただ、びっくりした。
でも、翔さんは普通に接してくるし、
キスのことなんて気にしてない。
気にしてるのは俺だけみたいで、
なんだか恥ずかしい。
「…和ー?」
「はいっ!?」
「うぉっ、なんだよ~。」
智は俺の声に驚いて、
後退りをした。
…あ、やば。
「ごめん。びっくりしたよね。
はぁぁ…。」
「…なんかあったの?
翔ちゃんと。」
…鋭い。
俺が素直に頷くと、
やっぱりねって言う。
「…智と、相葉さんが、
キス、するから…っ」
「え!?あれ、見てたの!?!?」
マジかぁって智が慌てる。
「そのせい、で…俺…っ」
「ご、ごめん!
あれは、お遊び…だから。
雅紀がしよって…。」
…嘘だ。
智は嘘つくと、
すぐに顔が赤くなる。
「そのせいで…翔、さんと…
き、す、しちゃった、んだから!」
「…え?何て言った?」
「だから、智のせいで…
翔さんと…っ、
キス……しちゃっ、た…。」
俺が俯きながら言うと、
びっくりしたように
でも、優しい笑みを浮かべてた。
「そっかそっか。
嫌だった?」
「………ううん。
びっくりした。」
「そうだよね…。
ふうん。そっかそっかぁ。」
そう言いながら、
スキップして階段を上っていった。
……バカ。
俺の気持ちになってみろ。
昨日、寝れなかったんだからな。