
方位磁石の指す方向。
第10章 scene 9
ドキドキ。
バクバク。
少女漫画みたいな、
そんな効果音が響いてるみたい。
俺の顔も漫画みたいに、
かあああって
赤くなってたりするんだろうな。
そう考えたら、
ちょっと緊張が緩んだ。
…なんだ。全然、平気じゃん。
「…ううん、大丈夫だよ。
平気だから、このままシて…?」
翔さんを上目遣いで見つめてみて、
ぐっと距離を詰める。
途端、翔さんの顔が赤くなり、
ふいっと顔ごと逸らされた。
「っ、なにも、
顔ごと逸らさなくたって…」
「あぁ、もうっ…
お前、マジ可愛すぎんだよ!」
「っえ…?」
翔さんが顔を背けたまま、
そう言い出した。
「っ、ボタンも外れてて
はだけてんのにっ…
そういうこと、言うなっ…」
耳まで真っ赤にさせて、
まったくもうっ…だなんて。
…あぁ、もう…
俺、嬉しくてどうにかなりそう。
そんなふうに、
俺のこと意識してくれてたんだ。
…どうしよう……。
嬉しくって、
顔が緩むの、抑えられないよ。
