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方位磁石の指す方向。

第10章 scene 9

櫻井side



いつもより長めのキスを、
何回も何回もする。

その度、二宮の瞳の水分量が増えて、
不安そうに揺らめいている。


「大丈夫…優しくするから…」


……ウソ。


そんな自信、どこにもない。


そっと白い肌に触れて、
指を滑らせる。

擽ったそうに身を捩る。


そんな姿さえも
愛おしく感じてしまう。


ふっ、と思わず息を吐く。


「んっ…ぁ、」


二宮の腹に、ちゅ、と
何回も口付けをする。

目を合わせる度、
恥ずかしそうに眉を下げて笑う。


「…好きだよ。」

「うん…俺も好き…」


二宮のやわらかい頬に
指を滑らせ、
優しく包み込む。

それから薄い唇に
たくさんキスしてやる。


「…ズボン、下ろしていい…?」

「…うん、」


少しだけ、二宮の体に力が入る。

肩が、震えている。


「…あぁ、俺も脱ぐから」


ばさっと纏っていたもの全てを
脱ぎ捨てて。

二宮のはだけた
ワイシャツはそのままで、
ズボンとパンツを下ろす。


恥ずかしそうに、
顔を真っ赤に染めて。


「消えちゃいたい、」


だなんて。


そんなの、可愛すぎるだろ。


「…二宮、こっち見て…?」

「…ん?」


まだ恥ずかしそうに、
目を伏せている。

するり、と太股を撫でれば、
小さく声を上げる。


「ふふ、えっろいなぁ…」

「っ…もう、 」


なにか言いたげに、
こちらを見つめてくるけど
それは今は無視する。

…これからが、本番なんだし。

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